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第2号(2013/10/3)

知っているようで知らない政令指定都市

2013年10月03日 00:04 by nadegata

 「政令指定都市って何?」この質問にあなたは答えられるだろうか。「大きい都市」程度の認識しか持っていない人も少なくないだろう。つい先日、堺市長選挙がおこなわれた。都構想を掲げ、都構想に堺市を参加させようと考える「大阪維新の会」公認の新人、西林氏と、都構想への堺市の参加に反対する現職の竹山氏の一騎打ちであった。結果は竹山氏の勝利。堺市民が堺市の都構想参加にNOを示した形となった。この結果橋下氏が想定する都構想の実現は厳しくなったかもしれない。都構想については別の機会に語ることとさせていただこう。さて、この選挙には堺市が政令指定都市であることも大きく関係している。そこで今回は政令指定都市とはなにか、について話していきたい。

 

政令指定都市は現在、5大都市よばれる横浜市、名古屋市、京都市、大阪市、神戸市や、私の住んでいる堺市、意外なところ(?)では岡山市、新潟市などの20都市ある。やはりというべきであろうか人口の多い太平洋ベルト付近に集中している。また神奈川県、静岡県、大阪府、福岡県には複数の政令指定都市が存在する。

 

 政令指定都市の条件についても様々だ。もちろんなりたいからといって簡単になれるものではない。もっとも大きな要件として人口がある。政令指定都市の根拠法である地方自治法では、50万人以上の人口があることを要件としている。しかし、実際には50万人で指定都市に移行した例はなく、最初に指定された五大都市(横浜市、名古屋市、京都市、大阪市、神戸市)の際に適用されていた100万人以上という要件がその後も生き続けていたので、移行を目指している各都市は市町村合併によってこの数字を目指すということが行われていた。その後、「平成の大合併」が行われた際、70万人以上であれば移行できるという前例が出来たため、以後は70万人での移行を目指す都市が多くなった。

 他に、行政能力要件がある。具体的には、①第一次産業就業者比率が10%以下であること②都市的形態、機能を備えていること③移譲事務処理能力を備えていること④行政区の設置、区の事務処理をする体制が整っていること⑤政令指定都市移行に関して県と市の意見が一致していること、である。難しい語もあるが、簡単に言えばある程度都会で、かつ⑤を満たせばよい、ということになる。

 

 政令指定都市になればどうなるのだろうか。まず、自治体の権限は一気に都道府県並みに格上げされる。これまでは都道府県と市とで分担していたものが、ほぼ全て指定都市という自治体に一元化される。やりたいことがあっても都道府県の意向を伺わなければならなかったものが、独自の判断で進めることが出来るようになり、行政の円滑化が進む。

 また、自動車や燃料に関する税金や宝くじの販売によって生まれる収益金が政令指定都市に入るため財源が増える。さらに、市内にいくつかの行政区が置かれ、それぞれの行政区には区役所が設置される。区役所は行政区に特化した行政サービスを行うため、政令指定都市になる前よりもきめ細かい事業ができるようになる。

 だが、デメリットもある。政令指定都市に移行すると、その都市自体をどのように運営するのか、発展させるのかという点についても権限が委譲される。土地の開発には市街化区域と市街化調整区域という分類があり、前者は開発しやすく、後者は開発しにくい。市街化区域だった土地が、指定都市移行によって調整区域となり、急に開発出来なくなるという事態がしばしば生じる。これは過疎地域の過疎化に拍車をかけてしまう。逆に、調整区域ということで都市計画税が課税されていなかった土地が、指定都市移行によって市街化区域となり、これまで課税されていなかった都市計画税の課税対象となるということもある。

 

 どうだろうか。実生活に直接関わる話ではないが、こういった知識があるとニュースなどでわかることが増える。わかればより楽しくなる。知っていて損をすることなどない。この記事を読み、政治に多少なりとも興味を持っていただけたらそれ以上の喜びはない。 

 

大阪大学 法学部法学科 山本将大 

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